一級建築士独学diary 構造 ~鉄骨造(S造)柱脚~
本日は鉄骨造(S造)における柱脚について勉強していきます。
柱脚は鉄骨の柱と鉄筋コンクリートの基礎の異種構造を接合します。そのため力の伝達に対する考え方も複雑になり、鉄骨、鉄筋のおさめも複雑になります。
過去の地震による被害実績からも柱脚部における被害が多く確認されており、設計上・施工上においても注意しなければならない部分です。
足元ふらついてる歩いてる人って危なっかしいですよね。やっぱり足元はしっかり固めておきたいですね。
申し遅れましたタンクトップのおやじ受験生の『村尾』です。たまにつぶやきますので宜しくお願いします。
鉄骨造の柱脚形式は次の3種類があります。
- 露出型
- 根巻型
- 埋込型
露出型は、ベースプレートを介してアンカーボルトにより基礎と接合する形式です。ピン接合の設計で力の伝達が明快であるため多用された形式ですが、過去の被害状況から完全ピン接合ではなく柱脚に生じる曲げモーメントを適切に考慮した設計へ見直しがされていて、計算ルート別に設計フローがあります。
根巻型は、下部構造から鉄筋コンクリート柱に鉄骨柱が包み込まれた固定柱脚です。力の伝達は根巻頂部、脚部の支圧により伝わります。根巻頂部へ大きな集中力が作用するため帯筋により補強します。軸力はベースプレートから直接下部へ伝わります。
埋込型は、下部の鉄筋コンクリートに埋め込まれた固定柱脚です。力の伝達は根巻型と同様に埋め込まれた部分の上部と下部の支圧により伝わります。軸力はベースプレートから直接下部へ伝わります。
実際、鉄骨造の設計を行う際には、それぞれの考え方を理解したうえで十分注意しなければならない部分ですね。
今回は試験勉強なので、基本的なところから勉強していきます。
- 露出柱脚の最大せん断耐力は、
露出型柱脚の最大せん断耐力Qu=max(Qfu,Qbu)
Qfu:摩擦により抵抗するせん断耐力 Qbu:アンカーボルトのせん断耐力
「摩擦により抵抗するせん断耐力」と「アンカーボルトのせん断耐力」の大きいほうとする。 - 露出柱脚において、ベースプレートの厚さはアンカーボルトの径の1.3倍とする。(建告第1456号)
- 露出柱脚において、ピン接合で設計すると上部構造に対しては安全側であるが、柱脚部に対しては危険側の設計となる。柱脚部の形状に応じた半曲点高比を考慮し曲げモーメントを適切に評価する。
- 露出柱脚において、伸び能力のあるアンカーボルトとして使用するJSS規格「建築構造用切削ねじアンカーボルト」やJIS規格「建築構造用転造ねじアンカーボルト」がある。このアンカーボルトは軸部が塑性変形するまでねじ部が破断しない性能を有している。
- 根巻柱脚において、鉄骨柱の曲げモーメントは根巻頂部で最大となり、ベースプレートに向かって小さくなる。ベースプレート下面には根巻鉄筋コンクリートに作用する曲げモーメントが生じるため、根巻鉄筋コンクリートより上部の鉄骨柱に作用するせん断力よりも、根巻鉄筋コンクリート部に作用するせん断力のほうが大きい。
- 根巻柱脚において、柱脚の応力を基礎に伝達するため、根巻鉄筋コンクリートの高さは鉄骨柱せいの2.5倍以上とする。(建告第1456号)
- 埋込柱脚において、鉄骨柱の応力はコンクリートに埋め込まれた部分の上部と下部の支圧により基礎に伝達する。
- 埋込柱脚において、鉄骨柱の剛性は基礎コンクリート上端から1.5D(D:柱せい)下がった位置で固定されたものとして算定する。
- 埋込柱脚において、鉄骨柱の埋込長さは基礎コンクリート上端から2D(D:柱せい)以上とする。(建告第1456号)
- 埋込柱脚において、埋込部分の鉄骨に対するコンクリートのかぶり厚さは鉄骨柱の幅以上とする。(建告第1456号)
ちょこちょこ建告第1456号というのが出てきてるけど、これは何だろう?
建告第1456号とは、平成12年に鉄骨造の柱の脚部を基礎に緊結する基準を定めた告示です。
それぞれの柱脚形式における基準が記載されています。構造計算を行うことで一部除外できます。
ではどんなことが書かれているか簡単に列記します。
本日は鉄骨造における柱脚設計の基本的な考え方、基準についてに勉強しました。
冒頭でも述べたように柱脚は過去の地震で大きな被害をうけています。
地震が多発する日本の建物を設計するうえでは、よく理解しておかなければならない部分ですね。
慌てずコツコツいきましょう。
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