1級建築士独学ロード

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一級建築士独学diary 構造 ~鉄骨造(S造)鋼材~

今回は鋼材について勉強していきます。

◆本日のStudy!◆【法規 用語の定義】
  1. 鋼材は、炭素含有量が多くなるほど、破断に至るまでの伸びが小さくなる。

  2. 鋼材の板厚が40mmを超えると降伏点が小さくなり基準強度が小さくなる。
    SS400 →板厚40mm以下235N/mm²、40mm超え215N/mm²
    SN490   →板厚40mm以下325N/mm²、40mm超え295N/mm²

  3. 建築構造用圧延鋼材SN490Bの引張強さの下限値は、490 N/mm²。

  4. SN材のC種は、B種の規定に加えて板厚方向の絞り値の下限が定められ、板厚方向に大きな引張力が作用する角形鋼管柱の通しダイアフラム等に用いられる。

  5. 熱間圧延鋼材の強度は、圧延方向に比べて、板厚方向のほうが小さい。

  6. シャルピー衝撃試験の吸収エネルギーの大きい鋼材を使用することは、溶接部の脆性破壊を防ぐために有利。

  7. 板厚が一定以上の建築構造用冷間ロール成形角形鋼管BCR295 については、降伏比の上限値が定められている。

  8. 高力ボルトF10Tの引張強さの下限値は、1,000N/mm2。

  9. 建築構造用ステンレス鋼材SUS304Aは、降伏点が明確ではないので、0.1 %オフセット耐力をもとに基準強度が定められている。

  10. 建築構造用低降伏点鋼材LY225 は、一般構造用圧延鋼材SS400 に比べて降伏点が低く延性が高いことから、履歴型制振ダンパーの材料に用いられている。

  11. ステンレス鋼は、炭素鋼に比べて、耐食性、耐火性に優れている。

  12. アルミニウム合金の線膨張係数は、炭素鋼の約 2 倍。

  13. 建築構造用TMCP鋼は、板厚が 40mmを超え 100mm以下の材であっても、40mm以下の材と同じ基準強度が保証されている。

 

鉄骨造は粘り強く(靭性がある)、大きなスパンの計画が可能であり、鉄筋コンクリート造と比べて軽量であるため、構造設計上は有利であるといえます。

ただし、柱や梁に使用する材は、鋼板を加工したり組み合わせたりすることで断面効率をあげ軽量化しているため、座屈しやすいという特徴があります。

そのため、鉄骨造を設計する上では座屈させないために、幅厚比や細長比、横補剛等の規定が設けれています。

幅厚比や細長比、横補剛についてはこちらに記載しています。

一級建築士独学diary 構造 ~鉄骨造(S造)幅厚比・細長比~ - 1級建築士になる日までdiary

一級建築士独学diary 構造 ~鉄骨造(S造)横補剛~ - 1級建築士になる日までdiary

また、鋼材は火に弱い、錆が発生してしまうという特徴があるので防火被覆、防錆処理についても注意が必要です。

鋼材には一般的に建築構造材として使用されている炭素鋼と、ステンレス等の合金鋼があります。炭素鋼は炭素含有量によって性質が異なります。炭素含有量が多いと強度は大きくなりますが靭性が減少します。その他リンや硫黄の含有量も靭性の減少に影響します。

柱や梁に使用する材は鋼を圧延して製作しています。圧延の読み方はそのまま”あつえん”です。最初人前で言うには自信なかったので心の中だけで”あつえん”と言ってましたが、今度から堂々と言えます。

圧延とは鋼板を製作する際、上ロールと下ロールの間に鋼を通して形をしていく方法です。圧延の強度には異方性があり、Z方向(板厚方向)が小さくなります。

圧延鋼材には3つの規格があります。

  • SS材(一般圧延鋼材)
    建築用として一般的にSS400材が使用されているが、溶接性は考慮されていない。  
  • SM材(溶接構造用圧延鋼材)
    溶接割れを考慮し炭素量を減らして溶接作業に優れた鋼材。
  • SN材(建築構造用圧延鋼材)
    耐震性や溶接性に優れた建築鋼材。降伏点又は耐力の上限、下限、降伏比の上限が規定されている。降伏後の変形能力、溶接性が保証されている。

次に基準強度です。

基準強度は、降伏点の下限値と引張強さの70%のうち小さいほうの値です。

  • SS材
    SS400 厚40以下→235N/mm²  厚40超え→215N/mm²
     〃      引張強さ→400~510N/mm²
    SS490 厚40以下→275N/mm²  厚40超え→255N/mm²
     〃      引張強さ→490~610N/mm²
  • SM材
    SM400 厚40以下→235N/mm²  厚40超え→215N/mm²
     〃       引張強さ→400~510N/mm²
    SM490 厚40以下→325N/mm²  厚40超え→295N/mm²
     〃      引張強さ→490~610N/mm²
  • SN材
    SN400 厚40以下→235N/mm²  厚40超え→215N/mm²
     〃       引張強さ→400~510N/mm²
    SN490 厚40以下→325N/mm²  厚40超え→295N/mm²
     〃      引張強さ→490~610N/mm²

以上からわかるようにSS400の”400”等の数値は引張強さの下限値を表しています。

 

さらにSN材には溶接性によりABC種に分かれます。
SN400はA,B,Cの3種類があり、SN490はB,Cの2種類があります。 

  • A種
    溶接性・塑性変形能力を期待しない
  • B種
    溶接性が良く、塑性変形能力を確保(降伏比の上限値を規定)
  • C種
    B種に加え板厚方向の引張に対する性能を確保(降伏比の上限値を規定)

鋼材は強度に関わらずヤング係数は変わらず2.05×10^5N/㎟です。そのため強度をあげても変形は変わりません。

 

鉄骨は種類が多くて大変ですが、1つ1つ整理して覚えましょう。

それでは頑張り過ぎずボチボチやりましょう!

その他の鉄骨造関連は下記に記載しています。

鉄骨造(S造)高力ボルト

鉄骨造(S造)溶接

鉄骨造(S造)柱脚

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鉄骨造(S造)幅厚比・細長比

鉄骨造(S造)横補剛

鉄骨造(S造)計算ルート