一級建築士独学diary 構造~鉄骨造(S造)計算ルート~
本日は鉄骨造の構造計算ルートを勉強していきます。
まずは構造計算の基本的な流れを書いてみます。
1.構造計算要否の確認
1)構造計算が不要(4号物件)→ 仕様規定へ
2)構造計算が必要→1次設計(許容応力度計算)→規模等による計算ルート選択
2.計算ルート選択
①H≦13m・軒の高さ≦9mの場合→ルート1ー1 or ルート1ー2
②H≦31mの場合→層間変形角≦1/200→剛性率・偏心率・塔状比の確認→ルート2
③31m<Hの場合→層間変形角≦1/200→ルート3
④60m<Hの場合→大臣が定める構造計算
もう少し詳しく図で表現するとこんな感じです。
まだまだ細かい基準はたくさんありますがわかりやすく単純化してます。
1次設計は中地震(震度Ⅳ程度)に対し損傷しないこと、2次設計は大地震(震度Ⅵ~Ⅶ程度)に対し倒壊しないことを目的とした構造計算による設計です。
構造計算の中身を理解するのはなかなか難しいですが、どのような検討して建物の安全が確認されているかということくらいは建築に携わるものとして知っておきたいですよね。
- 1次設計では長期(常時、積雪時)、短期(風、地震、積雪時)の計算により求めた部材断面に生じる応力度が許容応力度を超えないこと、変形・振動による使用上の支障が生じないこと、屋根ふき材が風圧に対して安全であることの確認を行う。
- ルート1-1・ルート1-2は比較的小規模の建物に用い、標準せん断力係数Coを0.3以上として地震力を割増しして行う強度型の設計である。
- ルート1-1・ルート1-2において柱を厚さ 6 mm以上の冷間成型角型鋼管とする場合、鋼管の角部分が塑性化し靭性が低下するため、ルート毎に規定が定められている。そのため地震力を割増しして断面検討する。
- ルート1-1・ルート1-2において柱を厚さ 6 mm以上の冷間成型角型鋼管とする場合の種類別応力割増し係数を下記に示す。割増し係数が小さい鋼管の方が強度が高いということ。
- ルート1-1・ルート1-2においては水平力を負担する筋かいの端部及び接合部を保有耐力接合とする。
保有耐力接合とは、建物の変形能力を十分に発揮するため接合部が先に壊れないよう接合部の破断耐力を部材の終局耐力より大きくすること。
- ルート1-2においては柱等の耐震要素の配置バランスを偏心率0.15以下によって確認する。
- ルート 2においては剛性率(0.6以上)・偏心率(0.15以下)・塔状比(4以下)を確認する。
縦長の建物は転倒しやすくなるため塔状比(H/W)が4を超えないよう確認する。
- ルート2において6 mm以上の冷間成型角型鋼管の柱に対する規定は、局部崩壊とならないよう柱より先に梁に塑性ヒンジを発生させるため、柱の曲げ耐力≧1.5×梁の曲げ耐力とし全体崩壊形とする。(最上階の柱頭部及び 1 階の柱脚部を除く)
- ルート 2においては、筋かいが負担する水平力の分担率に応じて地震時の応力を割り増しする
筋かいが水平力を負担する割合が多いとラーメン構造の復元能力が低下する。そのため筋かいの水平力分担率に応じて応力を割増して断面検討を行う。
β≦5/7→α=1+0.7β β>5/7→α=1.5
β:水平力分担率 α:割増し率
- ルート3において、柱を厚6mm以上の冷間成型角型鋼管とする場合、全体崩壊形とならない場合は柱の耐力を低減して計算した保有水平耐力が必要保有水平耐力以上であることを確認する。
- ルート3において、構造特性係数Ds値は、部材群の種別、筋かいの有効細長比の種別、保有水平耐力負担率で決まる。部材群の種別は柱・梁の幅厚比で求める。
- 1つの建物で張り間方向、桁行方向で異なる計算ルートを採用できる。
階毎ではできない。
今回は鉄骨造(S造)における1次設計→ルート選定→2次設計の基本的な流れと、計算ルートにより異なる設計方法についての勉強でした。法令とともに学びたいところですが、無理せずコツコツいきましょう。
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