一級建築士独学diary 構造~鉄骨造(S造)高力ボルト~
一級建築士の学科試験 独学勉強記録です。
どうせ勉強するなら実務と重ね合わせて現在必要とする知識を優先して勉強していきたいと思います。
これから実務で鉄骨造の設計を行う予定なので今回は鉄骨造について勉強です。
学科試験の過去問をみていると構造の科目では鉄筋コンクリート造と鉄骨造についての出題が多いことがわかります。
私の調べでは約4割近くがこの2つからの出題で、残りを力学計算、木造、基礎、地盤、耐震等、材料等から出題している傾向にあります。
鉄筋コンクリート造と鉄骨造を比べると鉄骨造の方が規制も多く、ディテール、施工も複雑です。その分試験問題としては出しやすく、難しい問題も多いのかなと思います。
鉄骨造の接合部といえば、ボルト・高力ボルト・溶接です。
ボルト(普通ボルト)接合は締め付け力があまり大きくないので、ゆるみとすべりの欠点から繰り返し応力を受ける部分に使用できない等、建物規模にもよっても使用が制限されています。
この欠点を補ったのが高力ボルトです。
溶接は鋼材を加熱、溶融して接合する方法ですが、こちらはまた後で。
- 高力ボルト摩擦接合は摩擦により応力を伝達する。摩擦接合は締め付け力を大きくしてそこから発生する摩擦力で応力を伝達する。
高力ボルトにはもう1つ引張接合というのもがあり、ボルト軸方向に作用する引張力をボルトの締め付け力で抵抗する方法である。
- 高力ボルトの種類は、溶融亜鉛めっき高力ボルト(F8T)、高力六角ボルト(F10T)、トルシア形高力ボルト(S10T)がある。
8T、10Tの数値は引張強さを表す。 尚、一般的には施工しやすいトルシア形高力ボルトが使われている。
- 高力ボルト摩擦接合部にせん断力と引張力が同時に作用すると摩擦力が小さくなってしまうため許容せん断耐力を低減する。
- 高力ボルト摩擦接合部は、すべり耐力以下の繰返し応力であれば、ボルト張力の低下や摩擦面の状態は変化しない。
- 高力ボルト摩擦接合と溶接接合とを併用する場合、先に溶接すると鋼材が曲がって高力ボルトが密着できなくなってしまうため、先に高力ボルトを締め付けてその後に溶接を行う。その場合両方の耐力を加算できる。
- 山形鋼の筋かいを高力ボルトによりガセットプレートで接合する場合、筋かい材の有効断面積は、高力ボルト本数が増えると無効断面積が小さくなるので、有効断面積は大きくなる。高力ボルトの本数が多くなるほど大きくなる。
- 高力ボルトのすべり耐力Rs=μ×N×m
μ:すべり係数 N:張力 m:摩擦面の数
すべり耐力とは接合部が滑らずに耐えられる摩擦抵抗力のことで、すべり係数が大きいほどすべり耐力が大きいということですね。すべり係数は0.45以上必要です。
- 基準張力をTとすると高力ボルト摩擦接合(1面せん断)のボルトの長期許容せん断応力度は0.3T。短期許容せん断応力度は1.5倍。2面せん断の場合は2倍。
短期許容せん断応力度は0.3T×1.5=0.45Tです。先ほどのすべり係数0.45はこの短期許容せん断応力度を基に決められている。
- 高力ボルト摩擦接合において、肌すきが1 mm超えの場合、フィラープレートを挿入する。またフィラープレートの材質は母材に関わらず両面摩擦処理した400N/㎟級で良い。
- 高力ボルト接合において、接合部が破断しないように適切な縁端距離が必要。
ボルトの径が大きいほど距離も必要になる。最小縁端距離は"手"よりも"自動"の方が綺麗に切断できるため最小縁端距離は、「手動ガス切断縁」より「自動ガス切断縁」のほうが小さい。
今回は高力ボルトについての勉強でした。
コツコツいきましょう!
その他鉄骨造関連は下記に記載しています。