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一級建築士独学diary 構造 ~鉄骨造(S造)幅厚比・細長比~

今回は幅厚比細長比について勉強します。

◆本日のStudy!◆【構造】鉄骨造 幅厚比・細長比
  1. H形鋼の梁の設計において、幅厚比を小さくすると座屈が生じにくくなる。

  2. H形鋼の柱及び梁の幅厚比の上限値は、フランジよりウェブのほうが大きい。

  3. 柱及び梁に使用する鋼材の幅厚比の上限値はSN400BよりSN490Bのほうが小さい。

  4. 柱材をSN400Bから同一断面のSN490Bに変更しても、細長比がSN400Bの限界細長比以上であれば、許容圧縮応力度は変わらない。

  5. 柱の限界細長比は、基準強度Fが大きいほど小さい。

  6. 有効細長比 λ  が小さい筋かいは、中程度の筋かいに比べて塑性変形性能が高い。

 

幅厚比細長比はよく出てくる単語ですね。今までなんとなく読んでたけど、本当はなんて読むんだろう。はばあつひ・・?ほそながひ・・?

確かに、人前で堂々と間違えたら恥ずかしいですよね。

でも村尾さん、安心してください。あってますよ。

かっこつけて難しく読むと周りが「ん?」ってなります。

この類は大抵そのまんま読んだ方が自然で、自分も周りもわかりやすいです。

幅厚比・細長比とは、それぞれ薄っぺらい度合、細長い度合を表すものです。

鉄骨造は鉄で組み立てますね。

当たり前じゃん。

鉄は強度が大きいので、それほど大きな部材を使用しなくても大空間の間取りを構成できとても便利な材料です。

ですが反面、鉄は他の材料と比べ重いため、梁や柱で使う四角形や丸形の断面全てを鉄で造ると建物にも地盤にも大きな負荷がかかり設計上不利になります。

そのため、部材の断面性能はできるだけ確保したままで、極力鉄を省いた効率の良い部材としてH形鋼や中空の角形鋼管などが使用されています。

H形鋼や角形鋼管などの鉄骨部材は鋼板を加工して造られます。

ある程度厚みのある本と薄っぺらい下敷きをそれぞれ両側から手で挟んで押すイメージをして下さい。

薄っぺらい下敷きの方はちょっと押しただけで横へグニャっと曲がりますね。

鋼板も同じで薄っぺらい部材は圧縮力がかかった時に横へグニャっと曲がってしまいます。このグニャっを座屈といいます。

座屈は徐々に曲がって壊れるのではなく、限界を超えた時点で一気に壊れてしまうため、設計では座屈が生じないよう十分注意が必要です。

柱がこんな事になったら大変だ。想像しただけでもおそろしい‥

この座屈を起こさないために板厚に規定を設けたのが幅厚比であり、同様に座屈が起きやすい細長い部材には細長比として規定されています。

 

比の計算方法は、幅厚比=幅/厚細長比=座屈長さ/断面二次半径で求めます。

・幅厚比が大きい→薄っぺらい→座屈しやすい

・細長比が大きい→細長い→座屈しやすい

 

以上を踏まえて勉強していきましょう。

  1. H形鋼の梁の設計において、板要素の幅厚比(幅/厚)を小さくする→厚みが増す→座屈が生じにくい。

  2. H形鋼は主にフランジは曲げモーメントを、ウェブはせん断力を負担する。
    曲げモーメントを負担するフランジの方がより大きな板厚が必要なため幅厚比の上限値は、フランジよりウェブのほうが大きい

  3. 柱及び梁に使用する鋼材の基準強度が大きくなるほど大きな力に対して局部座屈を防止しなければならないため幅厚比の制限値は厳しくなる。よって幅厚比の上限値はSN400BよりSN490Bのほうが小さい。

  4. 許容圧力応力度は座屈による影響が大きいため、柱材をSN400Bから同一断面のSN490Bに変更しても、細長比がSN400Bの限界細長比以上であれば、許容圧縮応力度は変わらない。
    限界細長比とは弾性範囲から非弾性へ移行するときの細長比

  5. 柱の限界細長比は、幅厚比と同様に基準強度Fが大きいほど大きな力に対して座屈を防止しなければならないため細長比のの制限値は厳しくなる。よって細長比は基準強度Fが大きいほど小さい

  6. 有効細長比 λ  が小さい筋かい(λ = 20 程度)は、中程度の筋かい(λ = 80 程度)に比べて塑性変形性能が高い。(細長比が小さい→座屈しにくい→変形性能が高い

以上が幅厚比、細長比の基本になります。座屈を起こさせないよう制限を設けていることを軸に学んでいけば、意味が理解できてくると思います。

 

他にも複雑な計算式があったりしますが、色々やりすぎると逆にわからなくなってやる気も削られるので(私は・・)
幅厚比、細長比について簡単ですがこの辺でおひらきにします。

焦らずゆっくり勉強していきましょう。

その他鉄骨造関連は下記に記載しています。

鉄骨造(S造)高力ボルト

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